大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和36年(し)21号 決定

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

申立人の特別抗告の理由は別紙のとおりであって、原決定が憲法三七条一項に違反するというのである。

しかし、その趣旨は、被告人大桐宇一は同被告人が田畑良幸と共謀して三回に亘り投票買収をしたという事実を認定した第一審判決に対し控訴したのであるが、その控訴審裁判所たる名古屋高等裁判所金沢支部第二部裁判長裁判官山田義盛および裁判官辻三雄は、さきに田畑良幸に対し被告人大桐宇一と共謀して三回に亘り投票買収をしたという同一事実につき有罪の判決をしており、刑訴二〇条七号の前審関与裁判官の除斥を認めた理由の趣旨に則り右裁判官両名の裁判には不公平な裁判となる虞があるとし、原決定が所論の如き事由は同二〇条各号所定のいずれの場合にも当らないとしたことを非難するのであって、要するに、右裁判官両名につき同二一条一項の忌避の原因の有無を争うに帰し、同四三三条一項の特別抗告の理由に当らない。しかして、所論の如き事由が忌避の原因とならないことは原決定の説明のとおりである。

よって同四三四条、四二六条一項により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例